研究概要 |
方法:坐骨神経結紮モデルを用いたmononeuropathyラットにおける痛覚過敏状態を,モデル作成後14日間にわたり,輻射熱刺激および機械的圧刺激に対する逃避反応にて結紮側と健常側の反応と比較した.また,結紮後1,4,7,14日後の脊髄後角内の興奮性アミノ酸であるグルタミン酸とアスパラギン酸を経時的に測定した.また,同じく経時的に脊髄スライス標本における細胞内Ca^<2+>イオン濃度の測定を行った.これらの変化が,NMDA受容体結抗薬であるMK-801の前処置により,影響を受けるかについての検討を加えた. 結果:結紮側の足底において,輻射熱および圧刺激に対する反応時間の短縮が結紮2日後より観察された.MK-801の前処置は,この痛覚過敏状態を抑制した.興奮性アミノ酸であるグルタミン酸およびアスパラギン酸の脊髄後角内濃度は,結紮4日後より脊髄結紮側の濃度が上昇した.この上昇は,MK-801の前処置により抑制された.細胞内Ca^<2+>イオン濃度は,結紮側の脊髄後角浅層,深層の細胞ともに上昇を示した.この上昇もまた,MK-801前処置により抑制された. 結語:以上の結果より,座骨神経結紮によるmononeuropathyにおける病的痛覚過敏状態において,興奮性アミノ酸の放出とNMDA受容体の活性化とそれに引き続く細胞内へのCa^<2+>イオンの流入が認められ,それらによる細胞内情報伝達に変化が生じていることが示唆された.
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