正常ラットと2つの停留睾丸ラットモデルを用いて、これらの睾丸導帯のカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)レセプターに違いがあるかどうか、また会陰大腿神経(GFN)切断の睾丸導帯への影響について、さらにマウスを用いて、CGRPによる導帯収縮の性質について検討した。 Sprague-Dawleyラット(SDラット)を正常対照モデルとし、TSラット(約85%に停留睾丸が出現し、内分泌学的な異常は認められていない)とフルタマイドラット(SDラットの胎生16日から19日に抗アンドロゲン剤のフルタマイドを投与したラットで、約40%に停留睾丸が出現)を停留睾丸モデルとした。生後2日の睾丸導帯を摘出し、凍結切片を作製、これを^<125>I標識CGRPと様々な濃度の非標識CGRPを含む溶液中で培養した。培養後、切片を洗浄し乾燥、^<125>Iマイクロスケールと共にX線フィルム上に感光させた。現像したフィルムはコンピューターに接続したデンシトメーターにより測定した。 移動中のラット睾丸導帯の挙睾筋にCGRPレセプターが証明され、正常ラットと停留睾丸ラットでレセプター濃度に差異のあることが示された。この違いはTSラットでは過剰のCGRP分泌によりレセプターのdown regulationが、フルタマイドラットでは過少のCGRP分泌によりレセプターのup regulationがおこっているものと解釈できた。またSDラットとTSラットのGFNを生後0日に切離、72時間後に睾丸導帯を摘出し、CGRPによる睾丸導帯の収縮性とレセプターの変化を調べると、SDラットと同じくTSラットにおいてもGFNの切離により、レセプター濃度が増加し、収縮する睾丸導帯数も増加することが示された。 マウスの睾丸導帯のCGRPに対する反応をみると、CGRPを加えた培養液中では、導帯は胎児の心筋のような速い規則的な収縮がみらる。しかし他のニューロペプタイドやアセチルコリンでは収縮はみられなかった。またこの規則的な収縮は、クラ-レで抑制されず、デハイドロビリジンで抑制された。 以上より睾丸導帯の移動には、GFNより分泌されるCGRPが深く関与しており、適量のCGRP分泌が睾丸導帯を正常な位置に移動するために必要であることが示唆された。
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