研究概要 |
平成8年度に引き続きMycoplasma genitaliumのadhesin蛋白をコードする遺伝子をtargetとしたpolymerase chain reaction(PCR)法による遺伝子診断法を用いて、男子淋菌性尿道炎患者、男子非淋菌性尿道炎患者および正常成人男子からのM.genitaliumの検出を行った。さらに本年度はM.genitaliumの検出を行った検体のうち、非淋菌性尿道炎患者129例および正常成人男子50例から得られた尿道擦過材料を対象として、他のマイコプラズマ(Mycoplasma hominis,Mycoplasma fermentans,Mycoplasma penetrans,Mycoplasma pirum)の検出も試みた。M.genitaliumは非淋菌性尿道炎患者129例中18例(14.0%)に検出されたが、正常成人男子50例からは検出されず、非淋菌性尿道炎患者において有意に高い検出率が観察された。M.hominsは非淋菌性尿道炎患者129例中20例(15.5%)に、正常成人男子50例中3例(6.0%)に検出されたが、統計学的には検出頻度の差は認められず、その他のマイコプラズマは非淋菌性尿道炎患者および正常成人男子からは検出されなかった。今回検討したマイコプラズマ(M.genitalium,M.hominis,M.fermentans,M.penetrans,M.pirum)の中では、M.genitaliumのみが非淋菌性尿道炎患者において有意に高い頻度で検出され、非淋菌性尿道炎との関連が示唆され、M.genitaliumの非淋菌性尿道炎における病原的意義をさらに支持する結果であった。
|