研究課題/領域番号 |
07671719
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
水谷 陽一 京都大学, 医学研究科, 助手 (10243031)
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研究分担者 |
吉田 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (70025584)
岡田 祐作 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20127062)
寺地 敏郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (50207487)
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キーワード | 膀胱腫瘍 / BCG / IL-6 / c-myc / G-CSF / Immunity / lymphocyte / cytotoxicity |
研究概要 |
BCGが膀胱腫瘍に対して抗腫瘍効果を示すのは宿主免疫系、特に細胞性免疫を介しているといわれている。そこでまず我々は細胞性免疫の重要な指標であるリンパ球の腫瘍細胞傷害活性について検討した。 多くの研究は腫瘍細胞傷害活性の標的細胞としてK562細胞などの株化細胞を用いている。しかし、株化細胞は培養などにより種々の影響を受けているため、株化細胞に対する細胞傷害活性が自己腫瘍細胞傷害活性を必ずしも反映しているとは限らない。そこで今回、膀胱腫瘍患者において末梢血リンパ球のK562骨髄性白血病株化細胞、T24膀胱腫瘍腫瘍株化細胞、新鮮自己腫瘍細胞に対する腫瘍細胞傷害活性の相関関係、さらにはそれらの腫瘍細胞傷害活性と予後との関係について検討した。K562細胞傷害活性とT24細胞傷害活性との間には強い正の相関関係が認められたが、自己腫瘍細胞傷害活性とK562細胞傷害活性、T24細胞傷害活性との間には相関関係が認められなかった。腫瘍細胞傷害活性の高低を平均値で2群に分け、膀胱腫瘍患者の予後との関係を検討した。K562細胞、T24細胞に対する腫瘍細胞傷害活性のレベルと膀胱腫瘍患者の5年生存率、5年無再発率との間には相関関係が認められなかった。しかし、高い自己腫瘍細胞傷害活性を有する膀胱腫瘍患者の予後は低い自己腫瘍細胞傷害活性を有する患者の予後に比べ、有意に良好であった。また、高い自己腫瘍細胞傷害活性を有する患者と低い自己腫瘍細胞傷害活性を有する患者との間には膀胱腫瘍のStage, Gradeなど背景因子には特に有意差を認めなかった。以上の結果から、膀胱腫瘍患者において自己腫瘍細胞傷害活性は重要かつ独立した予後因子の1つであり、細胞性免疫の指標である腫瘍細胞傷害活性の測定には株化細胞でなく、新鮮自己腫瘍細胞を用いるべきであると考えられた。 以前の我々の報告によると、BCGはこの自己腫瘍細胞傷害活性を増強する作用を示しており、この作用が膀胱腫瘍に対してBCGが有効であるひとつのメカニズムであることが示唆された。
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