前立腺の生理的意義の解明のひとつとして精液中のssMCPの精子に対する作用機転を明らかにすることと、精子上のsmMCPの授精時の役割の追究を目的として、初年度に以下の実験を施行した。 I.ssMCP Andersonらの仮説を立証するために、精子と卵との結合をin vitroで再構築する。 1)精子と卵との結合の仲立ちをすると考えられている補体の関与を立証するために補体成分のC3、C4を精製し、それらのdimerをcross-linkerを用いて作製した。 2)卵の変わりに、CR-1(卵側にある補体レセプター)を持っていることが知られている好中球を用い、ヒト精子との結合を位相差顕微鏡を用い、観察した。 II.smMCP ヒト精子に対する補体系による障害とそれを防ぐsmMCPの働きをこれらをin vitroで再構築することにより行った。また、精子が頸管内で行うと言われている特殊な運動であるhyperactivationとの関係を調べた。 1)ヒト精子に精製したC3あるいはC4を加え、その運動の質、量の変化をCASA(Computer Assisted Sperm Analiser)で観察し影響を判定した。 2)prostasomeを上記の系に加え、そのinhibitionの効果について検討する予定としている。
|