ウサギの円形精子細胞を卵細胞質内に注入することにより受精およびその後の胚の発育が認められる。しかし精巣機能障害よりの円形精子細胞の受精能についての検討はなっかった。 ニュージーランドホワイトラビット5羽に対し左精索静脈瘤を作製し、精巣機能障害を作製した。このウサギからの円形精子細胞を使用し円形精子細胞核注入法を施行しその受精率、妊娠率などをコントロール群と比較検討した。その結果、分割胚の割合は精索静脈瘤23%に対しコントロール群82%、産仔数はそれぞれ0(0%)と6羽(9%)であった。このことより機能障害を有する精巣からの円形精子細胞も受精能および胚の発育が可能であることが示された。しかしながらその割合は正常な精巣由来の円形精子細胞を使用した場合に比較して有意に低値であった。以上より精巣機能障害は円形精子細胞の受精能を低下させることが示唆された。 また円形精子細胞核注入法での受精、着床、妊娠率の向上のため、卵の活性化に機械的刺激だけでなく、これに電気刺激を併用し検討した。併用群と機械刺激単独群では卵活性化率は100%と85%、着床成功率は43%と23%、出産率は13%と1%であった。この結果より機械的刺激と電気刺激の併用は円形精子核注入法でよりよい結果を得るためには有用であると思われた。
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