研究概要 |
1.雄家兎近位尿道に対する各種α_1遮断薬の特性 われわれが開発し既に有用性を報告しているin vivo isovolumetric urethral pressure modelを用い、現在前立腺肥大症治療薬として使用されている6種と現在開発中の1種のα_1遮断薬の特性を比較検討した。Bunazosin, prazosinは尿道圧、血圧とも同程度により強力に働くのに対し、terazosinはこれらに対してやや血圧の作用が弱く、alfuzosinはキナゾリン誘導体では最も近位尿道に選択性を有していた。またurapidilは血圧・尿道圧とも他の薬剤に比し抑制率が低く、薬剤の至適容量の違いから生じる結果と思われた。一方tamsulosinは最も血圧への影響が少なく、より低濃度で強力に尿道に対して抑制的に働く薬剤であり、最も下部尿路に選択性を有す特性を示した。 さらに現在開発中のKMD-3213は選択的α_<1a>遮断薬であり、tamsulosinよりさらに血圧に影響せず尿道選択性を有した薬剤であった。 2.雌家兎近位尿道のα受容体に対する各種α_1遮断薬の特性 同モデルを使ってα_1作働薬(phenylephrine)とα_2作働薬(clonidine)の収縮反応に対する各種α_1遮断薬の抑制効果をin vivoならびにin vitroで比較した。tamusulosin, bunazosin, prazosinではα_2作働薬の収縮反応に対してはほとんど影響を与えず、urapidil, alfuzosin, terazosinについてはα_2遮断薬としての抑制効果も認め、特にurapidilはin vivo, in vitroを通じ、その特性が強かった。われわれは前立腺肥大症肥大結節中のα_2受容体の収縮反応、さらに雌におけるα_2受容体の反応性の重要性について報告してきており、こうした薬剤の特性は排尿困難治療薬としての重要な特性を表すものと考えられる。
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