(研究実績概要) 1)犬単離腎低温灌流保存に灌流液中心房性Na利尿ペプチド(ANP)および塩酸バラパミル投与の影響 雄性雑種成犬の腎を摘出し、酸素供給低温灌流装置(ミネソタ式腎灌流装置MOX-100)に腎を装着し、灌流液別に1群:UW灌流液、2群:UW灌流液にANPを添加、3群:UW灌流液に塩酸バラパミルを添加の3群で24時間灌流し比較した。低温灌流後の腎機能のviabilitを検討するための、腎皮質の組織中ATPを液体クロマトグラフィにて測定したが、第2群のUW灌流液にANPを添加した群の腎皮質組織中ATP濃度が他の2群に比較して高値を示しており、腎viabilityは保たれていることが示唆された。 2)低温灌流後自家腎移植に対するANPおよび塩酸バラパミル投与の影響 ビ-グル犬を使用し、UW灌流液による24時間低温灌流保存後自家移植直後よりANP投与7日間群、塩酸バラパミル7日間投与群および無投与群で14日間観察し、比較検討した。移植腎生着に関してはANP投与群および塩酸バラパミール投与群は全例生着したが、コントロール群は1/3匹腎不全にて死亡した。腎機能に関しては無投与群に比較し、ANP投与群および塩酸バラパミル投与群で早期の機能発現が認められたが、この2群間には移植後14日目では有意な差はみられなかった。 以上より、イヌ腎低温灌流保存および自家腎移植に対し、ANPおよび塩酸バラパミールの投与は低温灌流保存移植において有用であることが示唆された。
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