研究概要 |
既に、マウス腎癌、Rencaモデルにおいて、活性型ビタミンD_3(1α,25-(OH)_2D_3)およびその誘導体[1α(OH)D_3および22-oxa-1α,25 (OH)_2D_3]が腫瘍増殖抑制効果および担癌マウスの生存延長および転移抑制効果の抗腫瘍効果を示し、それらの効果は用量依存的あることを明らかとした。また、マウス腎癌が活性型ビタミンD_3受容体を有することを組織免疫学的に明らかとした。さらに、活性型ビタミンD_3治療腫瘍の組織所見では凝固壊死像が著明であり腫瘍局所の腫瘍局所の循環傷害が示唆された。これらの結果を基づき、今回、腫瘍血管新生活性を検討した。in vivo色素希釈法により測定した移植腫瘍内含有血液量は、これら活性型ビタミンD_3治療により著明な減少を認めた。一方、移植マウス腫瘍の生理食塩水還流・造影剤注入後の軟X線撮影によるよる顕微血管造影法では、対照腫瘍に比較し治療腫瘍で腫瘍血管密度の著明な減少および血管径の有意な縮小を認めた。この所見よりChalkley法およびVogel法により新生血管の血管長および血管面積を求め、活性型ビタミンD_3の腫瘍血管新生阻害作用を定量的にも確認した。さらに、転移実験モデルにおいても同様に顕微血管造影による血管新生活性の評価が可能であった。よって、活性ビタミンD_3による抗腫瘍効果は血管新生阻害作用を介するものであることが明らかとなった。今回、新たに開発した顕微血管造影像の定量化は、簡便かつ再現性に優れ、色素希釈法と同様に、腫瘍管新生の研究に広く応用可能であるものと考えられた。
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