東邦大学大森病院外来のインポテンス症例のBCR-L(球海綿体反射の潜時bulbocavernosus reflex latency time)の成績を検討した。その結果、必ずしも臨床と一致しないことを明らかにした。この結果はIMPOTENCEに投稿予定である。そこで、脊髄損傷症例に機能的電気刺激に用いる試験刺激電極(日本電気社製)を使用して勃起神経である骨盤神経を直接電気刺激を行うなど試みたが、勃起を起こすことはできなかった。われわれは既にこの方法で動物(イヌ)では勃起が起こることを確立している。そのため、更に骨盤神経の中枢である。仙髄の前根からでていることからこの部の電気刺激を検討した。しかし、これは文献的にも侵襲が大きいことから、硬膜外に電極を挿入して勃起を起こさせる方法から開始した。この方法は既に麻酔科領域で痙性疼痛や血行障害、神経因性膀胱に応用されている脊髄電気刺激装置(日本メドトロニック社製)を使用した。症例は感電が原因の痙性疼痛と神経因性膀胱を伴うインポテンス症例に設置し、勃起が起こるか否かを試みた。その際、陰茎刺激による脊髄神経の活動電位から神経の伝導速度をNeuropack(日本光電者製)により測定した。その結果陰茎の知覚神経に障害があることを明らかにした。一方、この症例は電気刺激により排尿と痙性疼痛は著明に改善している。しかし、脊髄刺激により勃起を起こすことはできなかった。この症例は日本性機能学会東部総会に報告予定である。この装置は麻酔科、整形外科領域で広く応用されており、手技的にも容易であることがわかった。安全性も確認されており、インポテンスの治療や陰茎の神経障害の診断に応用できることが確認された。
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