研究課題/領域番号 |
07671760
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | (財)冲中記念成人病研究所 |
研究代表者 |
横山 正夫 財団法人冲中記念成人病研究所, 主任研究員 (80010304)
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研究分担者 |
小田 裕之 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員
北原 研 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員
金村 三樹朗 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員 (00201434)
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キーワード | 表在性膀胱癌 / BCG膀胱注入療法 / 電顕的細胞化学 / 非対称性単位膜 / ConA結合部位 / 形態変化 |
研究概要 |
表在性膀胱癌に対するBCG膀注療法の再発予防効果はすでに証明されている。BCG膀注は通常経尿道的腫瘍切除術後に施行されるので、BCGは非腫瘍部粘膜に作用し、再発を阻止していると推定される。しかしBCG膀注後のヒト膀胱粘膜の変化、特に超微形態については観察が少ない。そこでBCG膀注前後に非腫瘍部粘膜多部位生検(multiple mucosal biopsy : MMB)を行ない、光顕所見と共に電顕的細胞化学的変化を調べた。[対象および方法]頻回再発あるいはMMBで随伴病変をもつ表在性膀胱癌患者にBCG膀注療法(Tokyo172株80mg/40ml生食、週1回、8週)を行なった。電顕的にはアルデヒド固定後フェリチン標識Con Aと反応させ、オスミウム後固定、エポン包埋し、透過型電顕で観察した。[結果]35症例、38治療の前後に行なった74回のMMB標本434個を観察した。BCG膀注前のMMB標本は、約60%において移行上皮最外層細胞に特徴的な斑とその間の稜構造が認められた。斑は非対称性単位膜(asymmetric unit membrane : AUM)よりなる。残る40%は表面が微絨毛で覆われていた。上皮内、間質に浮腫、細胞浸潤は少ない。BCG膀注終了約1カ月後には斑は消失し、著しい上皮内浮腫が認められ、その後の生検では上皮内、間質の細胞浸潤が目立った。AUM出現率はBCG膀注前(n=30)60±32%、BCG終了後45日以内(n=16)30±37%、46〜90日(n=16)44±37%、91±180日(n=6)67±28%、181日以降(n=7)84±10%であり。表面構造への影響は長期におよぶことが示された。癌の非再発率はBCG1コース群(n=29)で2年69%、3年62%、BCG2コース以上(n=9)では2年49%であった。前後における生検所見とBCG療法後の再発との関係はなお明らかでない。[まとめ]BCG膀注後の膀胱粘膜の超微形態を調べ、斑の消失と回復過程を明らかにした。今後目標50症例を上回る観察を行ない、BCG後の再発危険因子の解明を行ないたい。
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