(1)マウス胎仔肝由来造血幹細胞の同系マウス胎仔腹腔内移植に関する研究 ドナー胎仔の妊娠日数を13、15、17日に設定、またレシピ-エント胎仔の妊娠日数を15、16、17日に設定して、各日数を組み合わせてドナー胎仔肝由来造血肝細胞をレシピ-エント胎仔腹腔内に移植した。次いで、レシピ-エント胎仔を分娩させ、生後3週間で雌のみを選別して飼育し、生後6週間で採血、血液細胞よりDNAを抽出してSryの有無をPCR法で検索した。 その結果、妊娠日数15日の幹細胞のみがとくに良好な生着を示し、他の日数より有意に移植細胞の生着率がよいことがわかった。しかしレシピ-エント胎仔の妊娠日数は生着率に影響を与えなかった。 (2)マウス胎仔肝由来造血幹細胞のコロニー形成に関する研究 妊娠13、15、17日の胎仔肝由来造血幹細胞を培地中で培養し、コロニー形成能を検索した。 その結果、妊娠日数13日の幹細胞が最もよいコロニー形成能を示し、次いで15日、17日の順であったが、13日と15日の形成能には大差はなく、17日のみ有意に形成能は低かった。さらに、13日の幹細胞により形成されるコロニーと15日の幹細胞により形成されるコロニーとは構成細胞の形態に相違がみられた。 (3)現時点での考察 マウス胎仔由来造血幹細胞は、短期日のうちに分化する。腹腔内移植により生着を得られる細胞は、腹腔より血管内へ移動する能力が必要であるが、その能力をもつ細胞は、妊娠日数17日付近で発生している。
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