研究課題/領域番号 |
07671769
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
清水 康史 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (80242197)
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研究分担者 |
麻生 武志 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60093176)
久保田 俊郎 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (50126223)
己斐 秀樹 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (20280969)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | 精子 / 受精能 / カルシウム / 細胞内情報伝達系 / プロゲステロン / プロスタグランジン / 卵胞液 |
研究概要 |
1) プロゲステロン、卵胞液とともにプロスタグランジンが精子細胞内カルシウム濃度を上昇させ、先体反応を誘起し、受精に至らせることが報告されている。プロスタグランジンは卵胞液や精漿中に高濃度に存在し、受精過程の精子に影響を及ぼしていることが考えられる。今回、私達はPGE1、PGE2添加による精子細胞内カルシウム濃度の変化をfura-2を用いて測定した。PGE1、PGE2は用量依存性に精子細胞内カルシウムを上昇させ、その作用はPertussis toxinには感受性のないdihydropyridine非依存性のカルシウムチャンネルからの流入によるものであった。PGE1、PGE2とも100秒後に再添加すると、desensitizationが起こった。PGE1とプロゲステロンとの間にはdesensitizationが起こらず、両者は異なった機序で精子細胞内カルシウムを上昇させることがわかった。 2) 卵胞液および卵胞液中に高濃度に含まれるプロゲステロンは、精子の[Ca^<2+>]iを上昇させ、先体反応を促進し、受精能を高めることが報告されている。奇形精子症は男性不妊症の一因であり、我々はcell suspension法にて、奇形率の高いものは有意にプロゲステロンによる[Ca^<2+>]iの上昇が小さいことを報告した。本研究では、卵胞液添加による[Ca^<2+>]iの変化を単一細胞レベルで測定し、形態正常精子と形態異常精子について比較した。当科不妊外来にて精液検査の目的で採取された精子を被検体とした。精子を液化後、MEM/HSA 5mg/mlで60分間swim upし、10μMのFluo-3と混和し、37℃、30分間培養した。運動精子をCell-Takにて固定し、体外受精胚移植法施行時に採取した卵胞液を添加し、単一細胞レベルの[Ca^<2+>]iを測定した。[Ca^<2+>]iの測定は、細胞内カルシウム画像解析装置(Meridian Insight plus-IQ)を使用した。形態正常精子では、卵胞液の添加により[Ca^<2+>]iはすみやかに上昇し、2-3秒でピークとなり、プラトーへ移行した。[Ca^<2+>]iの上昇は精子頭部においてみられ、尾部では観察されなかった。卵胞液添加による[Ca^<2+>]iの増加率は、形態異常精子では7.1±6.4%であり、形態正常精子の20.5±24%と比較し、有意に小さかった。精子[Ca^<2+>]iの上昇は頭部で起こり、尾部では起こらなかった。形態異常精子では先体反応を促進する物質を添加しても、[Ca^<2+>]iの上昇が小さく、そのため、受精能が低くなる可能性が考えられた。
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