研究概要 |
(1)ヒト正常子宮におけるMCの分布と性周期による出現数の変動について。 子宮全体では筋層の内膜側に最も多くのMC(34個/HPF)が存在していた。MCのsubtypeを見ると子宮内膜でのMCは主に基底層に存在しており、そのほとんどがMCT(tryptaseのみを持つMC)であった。筋層の内膜側では約50%がMCCT(tryptaseとchymaseをもつMC)、筋層の漿膜側及び頸管ではほとんどがMCCTであった。子宮平滑筋層でのMCは結合組織内に存在するものと、平滑筋細胞間に存在するものがあった。また、血管周囲に比較的多くのMCが認められた。子宮の部位ごとにMC数と月経周期との関係を見ると、内膜、頸管、筋層の内側外側いずれにおいても、MC数は増殖期、分泌期では差がなく、閉経後は減少していた。 (2)子宮平滑筋におけるSCF(stem cell factor,MCの増殖因子)の産生について。 培養子宮平滑筋よりRNAを抽出し、RT-PCRを行ってSCFのmRNAの発現を確認した。また、子宮平滑筋層をホモジネートし、その上清中のstem cell factorをELISA法で測定した。その結果、湿重量あたり血液由来であると考えられる以上のstem cell factorを検出した。また、無血清培地で平滑筋細胞を培養し、培地中にSCFが存在することをELISA法で確認した。さらに子宮平滑筋でのSCFmRNAの発現をin site hybridyzation,northan blottingにより検討中であるが、目下のところこれらの方法では明らかな発現を検出することができていない。 (3)MCの顆粒内容物質であるhistamin,serotoninの子宮平滑筋への作用について。 子宮平滑筋を培養し、histaminあるいはser otoninの添加をおこない、これらが細胞の増殖に与える影響ををMMT法を用いて検討した。その結果、これらは細胞の平滑筋細胞の増殖には、影響を与えないことが明らかとなった。coll agen及びcoll agenaseの産生に対する影響については目下検討中である。
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