研究概要 |
産褥婦人について分娩後産褥6カ月にわたって乳汁を採取しPTHrPの推移について検討した。PTHrPの測定についてはN端(1-87)のみでなく,最近そのユニークな作用が注目されているC端(109-141)を認識する測定系も用いて行った。乳汁中のPTHrP濃度はN端,C端ともに分娩直後は低く産褥10日頃までほぼ直線的に増加しそれぞれ13,865±2,401pmol/L(mean±SE),56,393±11,306pmol/Lに達した。その後N端はほぼそのレベルを長期にわたって維持し産褥6ヵ月でやや低下した。C端は産褥30日目から産褥6ヵ月にかけて徐々に低下する傾向を認めた。ほとんどのホルモンや成長因子が初乳中に高濃度に含まれるのに対して乳汁中のPTHrP濃度は初乳中で低く産褥経過に伴い増加するという独特な推移をとることがわかった。 また乳汁中の蛋白やミネラル成分(カルシウムやリン)の濃度や乳汁分泌量とPTHrPとの関連性等についても検討した。乳汁中の蛋白濃度は産褥経過にともない減少し乳汁中のPTHrP濃度と相関を認めなかった。乳汁中Ca濃度はC端PTHrPとは相関を認めたが(r=0.422),N端PTHrP濃度とは相関を認めなかった。また乳汁中PTHrP濃度と乳汁分泌量の間にも相関は認めなかった。 さらに妊娠中から産褥期にかけての婦人の骨量を超音波にて測定するとともに血液,尿中の骨代謝に関連するホルモン(PTHrP,PTH,エストロゲン等)および骨吸収・骨形成マーカーを測定し,骨動態をみた。
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