研究概要 |
1.子宮頸癌83例、上皮内癌24例、高度異形成22例、正常36例、27例のリンパ節転移巣、子宮頸部腺癌31例について、Tn,sTn抗原の発現を各々2種類の抗Tn、抗sTnモノクローナル抗体を用いたABC法で免疫組織学的に検討した。 2.Tn抗原は浸潤癌の20-23%に発現していたが、上皮内癌、高度異形成、正常上皮ではその発現は認められなかった。一方、sTn抗原は浸潤癌の51-58%、上皮内癌の54-42%、高度異形成の50-64%に発現していたが、正常上皮には発現が見られなかった。以上のことから、Tn,sTn抗原は癌化に伴って発現してくる癌関連抗原であることを明らかにした。 3.子宮頸癌株細胞であるHela S3は免疫組織学的にTn抗原を発現しており、ヒト臍帯静脈内皮細胞に接着した。2種の抗Tnモノクローナル抗体はいずれも濃度依存性に有意にこの接着を阻止した。Tn抗原を介する細胞接着が存在し、抗Tnモノクローナル抗体により、Tn抗原発現癌細胞の血管内皮細胞への接着が阻止されることが示唆された。
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