研究概要 |
周産期医療での発達により、我が国の周産期死亡及び母体死亡は著明に減少している。さらなる成績向上のためには、個々の医療機関の充実にくわえ、地域全体における周産期医療のシステム化、すなわち医療施設間相互におけるスムーズな情報伝達システムを確立することが不可欠である。平成8年度においては,これまで開発してきた家庭と医療施設をむすぶ在宅妊婦の管理システムの改良にくわえ、医療施設間相互をむすぶシステケの開発を開始した。 これまで我々の開発してきた周産期ネットワークシステムは、1)家庭と医療施設をむすぶ在宅妊婦管理システム、および2)医療施設間相互をむすぶ医療施設間ネットワークシステムから構成される。在宅妊婦管理システムは、家庭で簡便に扱えるよう工夫された在宅用胎児監視装置とインターネットに接続されたパソコンから構成される。医療施設間相互をむすぶネットワークシステムは現在の医療施設での分娩監視装置の在り方を考え、分娩監視装置(単体)からの出力を利用する方法と院内に設置されている既設のセントラルモニタリングシステムの出力を利用する2方式を開発した。伝送する基本データは妊婦のID,氏名,週数,記録日時,心拍陣痛情報とした。データ転送にあたってはバイナリデータをテキストファイルに変換し電子メールの形式で送る。送られてきたデータは解析ソフトにより自動診断され、結果は随時グラフィック表示される。これまでに、外来患者家庭、里帰り予定遠隔地妊婦のハイリスク妊婦、計21人に延べ900回の伝送を試みた結果、データの欠損,誤り等は全く認められめず,インターネットによる周産期医療情報伝送の信頼性が十分高いことが確認された。
|