正常体重、または肥満群の無排卵症患者の性ステロイド、インシュリン過剰分泌を検討することにより以下の結果が得られた。クロミフェン抵抗性1度無月経患者の多くは高LH/FSH、高E1/E2、高アンドロゲンのホルモン環境を呈する。正常体重群ではインシュリン過剰分泌は軽度であるが、高LH/FSHが著明であり、肥満群ではLH/FSHの上昇は軽度であるが、インシュリン過剰分泌が著明である。PCOタイプ無排卵症でもインシュリン過剰分泌が著明な群と、LH/FSH比の上昇が著明な群の2つの亜型からなることが示唆された。正常群と肥満群では性ステロイド環境は同様であるが、そのPCOタイプ無排卵症への悪循環へ入る成因は異なるもとの考えられた。 肥満を伴ったPCO-type無排卵症患者に対してdiet療法(1600Kcal/日のダイエットを月一回の栄養士の指導の基で行う。)を施行し、その効果を検討している。Dietが成功した患者の4/6で自然排卵が認められた。また内2症例では妊娠の成立が認められた。排卵の回復が認められた症例ではインシュリン過剰分泌も抑制、性ステロイドホルモン環境の正常化が認められた。 マウスに対するインシュリンの投与による排卵に及ぼす検討は、有意の変化が得られていない。インシュリンの持続的な有向濃度を良好にコントロールできていないためと考えられた。そこで遺伝的高インシュリン、高血糖マウス(yellow obeseマウス:KK-CAy)を用いてその排卵周期を膣スメア-、卵巣組織所見により検討している。週令10週令の肥満が著明でない時期では高インスリン血症は認めるが、4〜5日周期でのほぼ正常の排卵周期が確認された。現在週令の増加による変化、ブドウ糖負荷、などによるインシュリン分泌と排卵周期に及ぼす影響を検討している。
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