研究概要 |
Melatoninは松果体で産生される活性アミンで、夜間に増量する特徴的な日内リズムを有する。このMelatoninは、Gonadotropin分泌に対しては夜間のLH,FSH分泌を低下させること又、このGonadotropin分泌抑制作用は視床下部からのGn-RH pulseの発現を減弱させる機序に基づくことを明らかにしてきた。今回、排卵周期確立過程における松果体のMelatonin産生動態を雌ラットを用い、特にステロイドホルモンの影響との関連から検討し以下の成績を得た。 (1)松果体中のメラトニン濃度は生後増量し、腟開口期である6週にピークに達し、排卵周期の確立過程である7〜8週に有意に減少することが明らかとなった。 (2)腟開口期である6週齢で両側卵巣を摘除するとMelatonin含量は7〜8週に著明に増量した。 (3)両側卵巣摘除ラットでは、Melatonin産生を刺激するNorepinephrine活性には影響を与えずMelatoninの前駆物質であるSerotoninの著明な増量が示された。 (4)両側卵巣摘除ラットにEstradiol benzoate(0.01〜20μg/day)を投与すると、MelatoninおよびSerotoninの増量は用量依存的に抑制されたが、progesteroneの投与では有意の抑制効果は認められなかった。 以上の検討から、排卵周期の成熟確立過程では松果体のMelatonin産生は大きく変動するが、このMelatonin産生に対して卵巣より分泌されるEstrogenが強く影響していること、又、このEstrogenはSerotonin活性を規制することがその一機序であることが強く示唆された。
|