Prostaglandin代謝酵素(prostaglandindehydrogenase)を不活化するヒト母乳由来の抑制物質の抽出、精製を行った。ヒト母乳を1000rpm×10分間遠心し、下層を分取した。等量のアセトンを加えて上層を分取し、更にこれに等量のジエチルエーテルを加えた。上層を分取し、N_2gasでevaporate後、残渣をエーテルに溶解した。これを薄層クロマトグラフィー(展開溶媒クロロホルム:アセトン=96.4)で展開し、inhibitor分画をジエチルエーテルで回収(Rf値:0.56)し、更に展開溶媒(石油エーテル:ジエチルエーテル=4:1)を用いて薄層クロマトグラフィーを行った。inhibitor分画をジエチルエーテルで回収(Rf値:0.26)し、エーテルに溶解した。まずこのinhibitorの性質につき生化学的に検討した。4°Cで1ヶ月間暗所保存後、そのinhibitor活性は90%以上保たれた。熱処理(100°C、10分間)後では約30%inhibitor活性が失われた。更にリパーゼ処理では40%inhibitor活性が失われたのに対して、トリプシン処理ではほとんど失活しなかった。以上よりinhibitorは脂質であると考えられた。このinhibitorの組成や構造分析を行うためのgas chromatography/mass spectrometryにapplyする前に予備実験としてgas chromatographyにapplyした。その結果、inhibitorは少なくとも2種類の脂肪酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸から成ることが明らかになった。またそれ以外の脂肪酸も組成にかかわっている可能性が示唆され、さらにgas chromatogtaphy/mass spectrometryによる詳細な検討を行う予定である。
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