Prostaglandin代謝酵素(prostaglandin dehydrogenase)を不活化するヒト母乳由来抑制物質の抽出・精製を繰り返し行い、十分な分析に必要な量を確保した。母乳を採取し、遠心、下層を分取した。アセトン、ジエチルエーテル処理後、薄層クロマトグラフィー(展開溶媒クロロホルム:アセトン=96:4)で展開し、inhibitor分画をジエチルエーテルで回収し、次の展開溶液(石油エーテル:ジエチルエーテル=4:1)を用いて薄層クロマトグラフィーを行った。inhibitorをエーテルに溶解させ、4℃で保存し量を確保した。このinhibitorをGaschromatography/Mass spectrometry(GC/MS)で成分分析を行った。条件はキャピラリーカラムURBONHR101(25m×0.25mm)でカラム温度は50℃から1分間に10℃づつ280℃まで昇温し、QC/MS-QP2000Aにapplyする。分析の結果は全て低分子量の脂肪酸であり、CH_3C_6H_<12>(C_4H_9)_2OH、C_<13>H_<27>COOCH_3(ミリスチン酸メチル)、C_<13>H_<27>COOH(ミリスチン酸)、C_<15>H_<29>COOH(ヘキサデセノイック酸)、C_<16>H_<31>COOH(パルミチン酸)、C_<17>H_<31>COOH(オクタデシノイック酸)C_<17>H_<33>COOH(オクタデセノイック酸)、C_<17>H_<35>COOH(ステアリン酸)C_4H_8(COOC_8H_<17>)_2と分析された。この中で量的に多く主なものはミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸の3つでほぼ同量であった。これら全ての脂肪酸の合成品を作ることは不可能と考えられ、主な3つの脂肪酸の混合品を作ることにした。同量つづをエーテルに溶解N_2gasでevaporateし、濃縮させ、代謝酵素の活性抑制実験を行ったところ、用量依存的に活性を抑制し、最大90%まで活性を抑えた。 今後はラットの胃潰瘍作成モデルを用いて、この混合品の潰瘍抑制効果を検討する予定である。
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