1、2種の抗HLA-Gモノクロナル抗体を用いた免疫組織学的研究 胎盤およびその他の組織をparaformaldehyde固定し、膜結合性HLA-G抗原と反応するモノクロナル抗体87G、および可溶性抗原にのみ反応する抗体16Gs1を用いて免疫組織染色を行い、膜結合性抗原は母体組織に侵入しつつあるextravillous trophoblastにのみ発現され、可溶性抗原はすべてのtrophoblastおよび絨毛間腔の母体血中へも分泌されていることを明らかにした。肝、腎、肺、皮膚等ではいずれの抗原も発現は認められなかった。 2、Affinity column、Immunoblot法による可溶性抗原の検出 胎盤抽出液の16Gs1 affinity columnにより得られた蛋白のアミノ酸配列を調べ、これがHLA-Gであることを確認した。また、16Gs1を用いた胎盤抽出液のimmunoblotを行い、精製可溶性HLA-G蛋白と同一の位置(37K dalton)にバンドが検出された。すなわち、胎盤において可溶性HLA-Gが発現していることを確認した。 3、膜結合性および可溶性HLA-G抗原の結合ペプチド解析 HLA-G rransfected cell lineにより発現されるHLA-G抗原について解析を行い、本抗原(class 1b)はclass 1a抗原と同様にHeavy chain、Light chainおよびペプチド分子が1:1:1の比で結合していることを明らかにした。そのペプチドは、ほぼ9(まれに11)アミノ酸よりなり、これらは細胞内蛋白由来のものであった。膜結合性および可溶性抗原の結合ペプチド間には質的な差は認められなかった。 4、TAPによるHLA-G抗原発現の制御について TAP欠損cell lineを用いてHLA-Gの発現を調べ、膜結合性、可溶性のいずれの抗原もTAP欠損株においてはその発現が著しく低下することを明らかにした。
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