1)Laser Scanning Cytometryの観察では、CDDP耐性ヒト卵巣癌培養細胞であるKFr13細胞(KFR)において1μM TXL投与で観察できなかったsub-G1に相当する領域に存在する細胞と、G2+M期に集積した細胞の一部にアポトーシス細胞をみとめた。OVCAR-3細胞(OV)において、0.01μM TXL投与によって観察されたsub-G1細胞は、アポトーシスをおこした核や断片化した後、アポトーシス小体であった。1μM TXLにより、OVにおいてアポトーシスがすべての細胞周期に由来していることがわかった。2)TdTアツセイによりアポメ-シス小体が染色されるが、同一標本内の染色性に差異をみとめアポトーシスのの質の違いが考えられた。3)アポトーシス抑制機能をもつBcl-2蛋白質は、Bcl-2aがKFRでは細胞周期に関係なく発現しているが、1μM TXL投与により浮遊したKFRにアポトーシス回避機能をもたないBcl-2β(21kDa)が発現していることがWestem Blot法で明らかとなった。Bcl-2は0.01μM TXL、1μg/mlCDDP投与により発現しなかった。OVにおけるBcl-2蛋白質の発現は、G2+M期細胞にみとめられた。4)細胞周期制御物質であるcyclinについて検討すると、TXL投与によってcyclin B1とcyclin D1の誘導が観察された。これはOVに優位で、しかも細胞増殖に影響を与えない0.01μM TXLでcyclin D1とcyclinB1陽性細胞が高頻度に観察された。
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