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1996 年度 研究成果報告書概要

Paclitaxelのヒト卵巣癌培養細胞株にたいする効果発現の機序の検討

研究課題

研究課題/領域番号 07671817
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 産婦人科学
研究機関岩手医科大学

研究代表者

吉崎 陽  岩手医科大学, 医学部, 講師 (40200969)

研究期間 (年度) 1995 – 1996
キーワードapoptosis / paclitaxel / ovarian cancer / CDDP-resistant / bcl-2 / cyclin / cellcycle
研究概要

1)細胞の形態の観察では、KFr13細胞(KFR)は薬剤を添加しないと孤立散在性の増殖を示すが、1μM TXL投与により浮遊細胞の顕著な増加を認めた。0.01μM TXL投与で巨核細胞の出現をみとめた。OVCAR-3細胞(OV)は島状の増殖を示し、KFRに比較し浮遊細胞の出現は少なかった。IC50はKFRでは、TXL0.0581μM、CDDP3.889μM、ADM0.775Mであった。OVでは、TXL0.2362μM、CDDP0.648μM、ADM0.0554μMであった。KFRはADM,CDDPに対して比較的耐性、OVはTXLに対して比較的耐性であった。3)細胞周期の変化はKFR、OVともにTXL投与によってG2+M期に集積した(69.5%-KFR,62.2%-OV,1μM TXL、24時間投与)。KFRは0.1μM以上のTXLで顕著なG2+M期集積と経時的なdebrisとhyperploidy細胞細胞をみとめた。OVは細胞増殖に影響を与えない0.01μM TXL投与によっていわゆるsub-G1細胞のpeakをみとめた(8.6%;1μM TXL,24時間投与)。このsub-G1細胞はアポトーシスに由来すると報告されている。4)Hoechst 33342染色による核形態の観察では、KFRにおいて細胞分裂中期(metaphase)に類似した核分剖像を多数みとめた。これは、3)で観察されたG2+M期細胞に由来するものと考える。5)Laser Scanning Cytometryの観察では、KFRにおいて1μM TXL投与で観察できなかったsub-G1に相当する領域に存在する細胞と、G2+M期に集積した細胞の一部にアポトーシス細胞をみとめた。OVにおいて、0.01μM TXL投与によって観察されたsub-G1細胞は、アポトーシスにおこした核や断片化した核、アポトーシス小体であった。1μM TXLにより、OVにおいてアポトーシスがすべての細胞周期に由来していることがわかった。6)TdTアッセイによりアポトーシス小体が染色されるが、同一標本内の染色性に差異をみとめアポトーシスの質の違いが考えられた。7)アポトーシス抑制機能をもつBcl-2蛋白質は、Bcl-2aがKFRでは細胞周期に関係なく発現しているが、1μM TXL投与により浮遊したKFRにアポトーシス回避機能をもたないBcl-2β(21kDa)が発現していることがWestem Blot法で明らかとなった。Bcl-2は0.01μM TXL、1μg/ml CDDP投与により発現しなかった。OVにおけるBcl-2蛋白質の発現は、G2+M期細胞にみとめられた。8)細胞周期制御物質であるcyclinについて検討すると、TXL投与によってcyclin B1とcyclin D1の誘導が観察された。これはOVに優位で、しかも細胞増殖に影響を与えない0.01μM TXLでcyclin D1とcyclin B1陽性細胞がより高頻度に観察された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 吉崎 陽: "Taxolのヒト卵巣癌培養細胞に対する効果発現とCDDP交差耐性克服機序に関する検討" Oncology & Chemotherapy. 12. 101-106 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Akira Yoshizaki: "The mechanism of Cisplatin Resistance and the Circumvention." Nova Scientific Publishers, Inc. New York,USA,(in press),

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 吉崎 陽: "第44回日本産婦人科学会北日本連合地方部会総会特別講演要旨集" 54 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Akira Yoshizaki: "The cytotoxic effect of taxol to CDDP-resistant human ovarian cancer cell line and the mechanism of CDDP resistance and circumvention." Oncology & Chemotherapy. 12. 101-106 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Akira Yoshizaki: The Mechanism of Cisplatin-resistance and the Possibility of Circumvension of the Resistance by Paclitaxel. The mechanism of Cisplatin Resistance and Circumvension. Ed.Y.Kikuchi. Nova Scientific Publishers, Inc.New York, USA, (in press),

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1999-03-09  

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