研究課題/領域番号 |
07671820
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
林 直樹 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (60211489)
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研究分担者 |
斉藤 正博 埼玉大学, 医学部, 助手 (50225736)
木下 勝之 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80010354)
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キーワード | 成長ホルモン総合蛋白 / 体外受精胚移植 / 成長ホルモン / IGF-1 / 卵胞液 |
研究概要 |
成長ホルモンの卵巣作用の解明の一助として、ヒト対外受精患者における血清中ならびに卵巣液中における成長ホルモン(GH)、成長ホルモン結合蛋白(GHBP)、インシュリン様成長因子(IGF-1)の動態につき検討した。 主な研究成績として、 1 卵巣液中には3-32ng/mlの濃度でGHBPが存在した。 2 ヒト対外受精患者において、採卵時における血清ならびに卵胞液中におけるGHBPならびにIGF-1は各々ほぼ同量に存在しかつ卵胞間の差異がなく、卵胞液中におけるGHBPならびにIGF-1の由来は主として血清よりの移行であると考えられた。 同一患者での過排卵刺激中の血清GHBP濃度はE2の上昇には関係なくほぼ一定に推移した。 4 採卵時における血清GHBP濃度20ng/ml以上の患者群(n=4)および20ng/ml以下の患者群(n=14)を比較すると、採卵数は前者で2.0±1.4、後者で7.7±1.4と有意に(p<0.05)前者において少なく、血清E2濃度も前者で580±409、後者で1092±1350ng/mlと低い傾向が認められた。また両群において採卵時血清IGF-1濃度および卵胞期初期の血清FSH濃度ならびにGH濃度に差は認められなかった。 以上の成績から血清中ならびに卵胞液中のGHBPは、GHの作用modulateしている可能性が示された。GHの肝臓からのIGF-1分泌を介する機序の他に、直接的な卵巣への作用が示唆された。また体外受精患者におけるpoor responderの予測として卵巣機能の低下の指標となる可能性が示された。poor responderの一部の患者においてGHPBが血清および卵胞液中に過剰に存在するためにGH作用が相対的に抑制され、卵胞発育が障害されている可能性が示された。
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