本年度は、体外受精患者の採卵時に得られた顆粒膜細胞における成長ホルモンリセプターのmRNA発現をRT-PCRにて観察し、卵胞液中ならびに血清中の成長ホルモン結合蛋白との相関を検討した。GnRHアナログ併用下でhMGによる卵胞刺激をおこない、卵胞成熟を確認後hCGを投与、36時間後に採卵した。得られた卵胞液を遠心分離し、顆粒膜細胞よりRNAを抽出した。primerは成長ホルモンリセプターの細胞内ドメイン領域の578bp断片を増幅するべく考案の目的した。またhouse keeping geneとしてGAPDHを用いた。この結果、成長ホルモンリセプターの顆粒膜細胞でのmRNA発現を観察しえたが、その発現の程度と血清ならびに卵胞液中の成長ホルモン結合蛋白との相関は見出せなかった。また一個体における複数の卵胞液間で成長ホルモン結合蛋白濃度に強い相関があること、ならびに卵胞液中と血清中でも強い相関があることから、卵胞液中の成長ホルモン結合蛋白の主な由来は顆粒膜細胞ではなく他臓器(肝臓など)であることが推測された。
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