CD44は接着因子のひとつであるが、最近、癌の転移に関わりがあるとされ注目をあびている。今回特に子宮頚癌のリンパ節転移との関係について検討した。転移と特に関係が深いとされるCD44v6のモノクローナル抗体を用いて、免疫染色を施行した。CD44v6は清浄子宮頚部でも傍基底膜に発現しれおり、異形成となると上層まで、発現するようになった。上皮内癌では全層に発現がみられたが、その強度は一様ではなく、ばらつきが見られた。子宮頚癌では扁平上皮癌、特に角化型に高率で発現していたが、腺癌は一例も発現していなかった。扁平上皮癌においては進行期が進むにつれて、発現率が上昇し、癌の進展と関わりがあることが示唆された。また、I期、II期の手術例で検討すると、リンパ節転移例と非転移例CD44v6の比較では、転移例で発現率が高かった。以上のことから、子宮頚癌の進行とリンパ節転移に、CD44v6が関与していることが示唆された。
|