研究概要 |
1.β_2-GPIを用いた抗リン脂質抗体の測定系にて胎盤機能不全、子宮内胎児発育遅延で陽性例を確認でき,これらのなかにβ_2-GPI依存性の抗体もあることをみいだし、胎盤機能を障害して,胎児発育を障害する因子となることを確認した。 2.血管内皮細胞機能に関しては血管内皮細胞培養系において,抗リン脂質抗体陽性血清添加により抗リン脂質抗体陽性血清が細胞増殖を疎外することが判明した。 3.血管内皮細胞PGF1α産生では平均値は低下傾向にあったが、多数例を検討すると統計学的に有意差はなかった。 4.血管内皮細胞より産生されるサイトカインつであるIL6の産生を検討したが、陽性血清は産生に影響を与えなかった。 5.Endothelin1は血管内皮細胞より産生される強力な血管収縮物質であるが、陽性血清は産生を増加することが判明した。 6.β_2-GPIそのものの血管内皮細胞におけるPGF1α、Endothelin 1産生を検討したが、β_2-GPIはPGF1α、Endothelin 1産生を抑制することが判明した。 7.胎盤絨毛の培養に関しては充分な組織が得られないなど困難な点が多く,機能障害が検出する安定したコントロールの設定が重要と思われた。 4.抗リン脂質抗体の血管内皮細胞に対する影響を検討する上で、β_2-GPIと精製抗体との混合実験が必要と考えられた。
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