1.β2-GPI依存性抗リン脂質抗体陽性血清よりProtei A affinity chromatographyにてIgG分画を抽出した。 2.β2-GPI依存性抗リン脂質抗体陽性IgG分画による血管内皮細胞におけるEndothelin 1産生を検討し、昨年報告した血清によるEndothelin 1産生増加がIgG抗体そのもののであることが判明した。 3.血管内皮細胞より産生されるサイトカインにたいするβ2-GPI依存性抗リン脂質抗体の影響を検討した。 a.IL1αは陽性血清添加により増加しなかったが、抗リン脂質抗体陽性IgG分画により増加した。 b.IL6は陽性血清添加により増加しなかったが、抗リン脂質抗体陽性IgG分画により増加した。 c.IL8は陽性血清添加により増加傾向にあり、さらに抗リン脂質抗体陽性IgG分画にても増加した。 4.β2-GPIそのものの血管内皮細胞におけるサイトカイン産生に対する影響を検討した。 IL1は増加傾向、IL6IL8には変化を与えなかった。 β2-GPI依存性抗リン脂質抗体は血管内皮細胞よりのEndothelin 1産生増加のみでなくIL1α、IL6、IL8の産生を増加し血管内皮細胞の機能や好中球の機能に影響を与え胎盤循環を変化させる可能性が推察された。またβ2-GPIそのものは血管内皮細胞IL1α、IL6、IL8の産生には影響が少ないことが判明した。
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