研究概要 |
ヒト漿液性卵巣癌より樹立した培養細胞株のうちシスプラチン感受性(2008)ならびに2008より作成したシスプラチン耐性株(C13^*)よりtotal RNAを抽出し、hsp60のカルボキシル基側0.9Kbの部分をprobe(Dr. S. B. Howell, UCSD Cancer Centerより供与)として用いたNorthern blot analysisにてその発現を検索した結果、シスプラチン感受性株2008に比較して、耐性株13^*においてhsp60 mRNAの発現の増加が認められた。 一方、シスプラチン感受性を変化させるとして知られている物質(TPA, BSO, EGF, Ouabainなど)をシスプラチン感受性株に添加し、そのhsp60mRNAの変化を調べたところ、これらの物質はhsp60mRNAの発現に何ら影響を及ぼさないことが確認された。 以上よりhsp60はシスプラチンの耐性に関与していることが示唆されたが、その作用機序は、上記物質がシスプラチン感受性に関与する経路とは異なると推察された。 また患者の同意を得たうえで、40例以上の卵巣癌手術標本をパラフィン包埋、薄切片を作成し保存することにより、免疫組織化学的手法による蛋白質レベルでのhsp60の発現を検討する準備を終了した。
|