研究課題/領域番号 |
07671827
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
安達 知子 東京女子医科大学, 医学部(産婦人科), 助教授 (70175173)
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研究分担者 |
原 誠 東京女子医科大学, 医学部(産婦人科), 助手 (70246601)
岩下 光利 東京女子医科大学, 医学部(母子総合医療センター), 助教授 (30124936)
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キーワード | 卵巣顆粒膜細胞 / FSH / IGF-I / IGF結合蛋白 / プロテアーゼ |
研究概要 |
生殖におけるヒト卵巣機能とIGF-Iおよびその結合蛋白(IGFBP)の解析を中心に行った。 1.顆粒膜細胞のエストラジオール(E2)分泌作用に及ぼすFSH、IGF-IおよびIGFBPの役割 体外受精の採卵時に卵胞より顆粒膜細胞を採取し培養後、IGF-IをIGFBPの存在下に添加し、E2分泌に及ぼす影響を解析した。同様の実験をFSH存在下に行った。 IGF-Iは濃度依存性にE2分泌を促進し、IGFBP-1と-3は濃度依存性に、IGF-Iによって促進されたE2分泌を抑制した。FSHはIGF-Iと相乗的にE2分泌を促進した。また、IGFBP-1と-3はFSHによるE2分泌促進には影響を与えなかった。 2.卵巣におけるIGF-Iのレセプターアッセイ IGFBP-1および-3は濃度依存性にIGF-Iが顆粒膜細胞の膜分画に結合するのを抑制した。 IGFBP-1および-3は、IGF-Iがレセプターへ結合するのを抑制することにより、IGF-Iの作用発現を抑制することが明らかとなった。 3.FSHによるIGFBPを介する顆粒膜細胞の機能調節 顆粒膜細胞にFSHを添加して、培養液中のに分泌されるIGFBP-Iおよび-3の濃度をイッムノアッセイおよびWestern ligant blot(WLB)で評価した。 FSHはIGFBP-1の分泌を抑制し、WLBで評価したIGFBP-3の結合活性を抑制したが、immunoreactive-IGFBP-3の分泌を促進した。この免疫活性と結合活性の差を明らかにすべく、IGFBP-3のプロテアーゼ活性を分析するため、^<125>I-IGFBP-3とFSHで処理した培養液をインキュベートしたところ、IGFBP-3は分子量の小さいfragmentに分解された。以上より、FSHはヒト顆粒膜細胞に対するIGF-Iの作用を増強することにより卵胞発育、E2分泌を促進すると考えられる。その機序として、IGF-Iの作用を抑制する顆粒膜細胞からのIGFBP-I分泌およびプロテアーゼ活性を介したIGFBP-3の生物活性を抑制することによることが明らかとなった。
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