研究課題/領域番号 |
07671832
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
林 和彦 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (40164933)
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研究分担者 |
与那嶺 京子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (20210784)
飯田 智博 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (60247377)
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キーワード | 腫瘍浸潤リンパ球 / T cell receptor / PCR-SSCP法 / 悪性腫瘍 |
研究概要 |
ヒトの固型癌には、腫瘍浸潤リンパ球(tumor-infiltrating lymphocyte; TIL)が存在し、これらのリンパ球が宿主の抗腫瘍反応を代表していると考えられている。T細胞の抗原の認識はT cell receptor(TCR)を介して行われ、TCRの再構成機構によってさまざまな抗原を認識することが分かっている。われわれは生体内でのT細胞のクロナリティーを明らかにするため、手術時に採取された婦人科悪性腫瘍のTCR Vβ鎖についてPCR-SSCP法でTCRクロナリティーの検討を行い、悪性腫瘍局所においては、T細胞を介した特異的な免疫反応がおきているが、同一患者でも悪性腫瘍の浸潤ないし転移の無い部分では、特異的免疫反応が起きていないことを明らかにした。 本年度の研究目的は、実際に腫瘍に対して細胞障害活性を有するT細胞クローン悪性腫瘍局所に存在するか否か、その為に試験管内で腫瘍に対して誘導された腫瘍特異的T細胞クローンと同一のクロノタイプのT細胞がもとのTILに存在するかをPCR-SSCP法で検討する。 まず、腫瘍とTILの分離を行い、それぞれを単独または共培養し、そのTILの解析を試みようとしたが、それぞれがわずかな量しか採取できず腫瘍とTILの分離は困難であり、そこで手術時採取された腫瘍を細胞分離後、Ficol-Hypaque密度勾配法によりTILと腫瘍の混合物を採取し、1週間共培養を行った。この共培養を行ったTILのRT-PCR-SSCP法で得られたクロナリティーの結果では、原腫瘍のTILの解析結果よりもクローンの集積が増強された。これは、腫瘍のなんらかの免疫作用によりT細胞クローンレベルでの特異的免疫反応が増強されたと考えられた。これらのことをさらに詳細に検討する為に以下のことを行った。 まず、培養時間を延長し、クローンの集積の増強がどのように変化するのかを確認する。培養期間中、腫瘍による免疫を確実に行うため、1週間毎に最初に培養された腫瘍+TILに前もって凍結保存しておいた分離された腫瘍+TILを解凍し、放射線照射後、追加培養を3〜4週間行った。 現在、この培養後のTILのクロナリティーを解析しているところである。
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