千葉県における平成6年度および8年度のズギ花粉飛散量は平成7年度の1/40であった.抗原量、抗体量の変化および加齢が鼻過敏症状発現に与える影響を検討するために平成7年にスギ、ダニ血清IgE値(CAP・RAST)測定、スギ花粉症症状のアンケート調査を行った丸山町丸山中学校学童135名を対象として、平成8年度のスギ、ダニ血清IgE値とスギ花粉症状の変化について検討した。 スギ花粉大量飛散年であった平成7年と比較して、RASTスコア値が1段階以上上昇した者が6名、平成7年にRASTスコアが1以上示しながら不変の者42名、RASTスコアが1段階以上低下した者22名、両年ともにRASTスコア0であった者が64名であった抗原量は著明に減少し、学童70名中64名ではRASTスコアは不変または減少を示したにもかかわらず、平成7年にみられた花粉症症状が平成8年に消失した者は皆無であり、15名が新たにスギ花粉症症状を発症した.15名中抗体値上昇を伴った者は2名にすぎなかった.平成7年にはRASTスコアが0であるにもかかわらず10名が花粉症症状を示したが、抗原量が減少した平成8年にも13名花粉症症状を示した.10命中1名のみがRAST2のスコア上昇を示した.スコア0であるにもかかわらず65名中3名が新たにスギ花粉症症状を示した. 13-15歳学童を対象とした今回の調査は高度のスギ花粉曝露によりひとたびスギ花粉症症状の発症をみた者は翌年以降、抗原量が著明に減少してもまた抗原量、抗体量が不変であっても、スギ花粉症飛散期にはスギ花粉症症状が出現すること、さらに抗体値は不変であっても加齢とともに発症者が増加することを示した. スギ花粉症の発症には抗原、抗体以外に抗原ー抗体反応を修飾する因子の関与が大きいことを示唆する。
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