研究概要 |
歪成分耳音響放射(DPOAE)検査装置(ILO-92)を、現有の誘発耳音響放射(EOAE)測定系に隣接して整備、両検査が時間的に可能な限り接近して行えるようにした。 ILO-92におけるDPOAE測定の基礎的な最適条件を決定するため、正常聴力者で、 1)刺激音圧のL1,L2を固定し、刺激音周波数のf2/f1比を変化させたときのf2/f1比とDP出力の関係、 2)L1,f2/f1比を固定し、L2を変化させたときのL1・L2差とDP出力との関係、 3)DPOAEの入出力曲線、 について検討した。この結果、 1)L1=65dBSPL、L2=55dBSPLに固定すると、低・中周波数ではf2/f1比が1.3付近で、高周波数では1.2付近で、DP出力が大きくなる傾向が見られる、 2)L1を65dBSPL、f2/f1比を1.25に固定し、L2を変化させると、L2がL1より10〜15dB小さい時に、より大きなDP出力が得られる、 3)DPOAEは飽和型の入出力曲線を示す、 ことがわかった。 臨床症例での測定方法の基礎的な設定値が、今年度の研究でほぼ確立できた。このため、急性感音難聴症例の経過を追跡する準備がほぼ整った。現在、数症例で実際の臨床経過を観察中である。 モルモットを用いた動物実験のための測定系の整備は、音響プローブの調整に困難を伴なったため、まだ完了には至っていない。これを急ぎ、基礎実験を開始する予定である。
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