研究課題/領域番号 |
07671866
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
進 武幹 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (70080869)
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研究分担者 |
坂本 尚志 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30170608)
大谷 信二 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (80274596)
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キーワード | 喉頭粘膜 / 孤束核 / 機械受容性線維 / 化学受容性線維 / 上喉頭神経 |
研究概要 |
声門上喉頭粘膜からの知覚情報は、上喉頭神経求心線維を経由して延髄孤束核に入力され、それに基づいて嚥下・咳・声門閉鎖反射などの上気道防御反射が惹起される。 これまで喉頭粘膜知覚受容器の特性は、上喉頭神経内枝の末梢端より神経束の集合電位として、あるいは電気的な単一線維として記録・解析されてきた。このような方法では自然発火のない線維や触圧刺激に応答しない線維からの記録は困難であるため、喉頭粘膜受容器の性質を忠実に反映しているとはいい難い。 そこで本研究では喉頭粘膜自然刺激に対する上喉頭神経知覚線維の生理学的特性と、これらの線維を介する求心性情報の孤束核ニューロンへの入力様式について検討した。実験にはネコを用い、定量的な機械的あるいは化学的刺激を喉頭粘膜に加え、その応答を延髄孤束核細胞へのシナプス結合部位近傍にて、シナプス前軸索から単一ユニットとして細胞外記録した。 上喉頭神経には順応性の異なる機械受容性線維や、水応答に代表される化学受容線維が存在し、特に機械受容性のみを示すmonomodalなユニットが多数認められた。これに対し孤束核ニューロンでは機械的および化学的刺激の両方に応答するpolymodalなユニットが57%と高率に認められた。またすべての機械受容性線維はごく限られた小領域を支配するのに対し、孤束核ニューロンは喉頭内の広範な領域の機械的刺激に応答した。 以上のことから、上喉頭神経知覚線維の脳幹反射においては広範な知覚受容域からの入力の収束があること、および受容される知覚のmodalityにおいても孤束核で収束、統合されることが判明した。このように孤束核ニューロンは嚥下などの気道防御反射の惹起において、末梢性知覚情報の統合に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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