研究課題/領域番号 |
07671870
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
植木 義裕 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (90232735)
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研究分担者 |
牛迫 泰明 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (10185001)
外山 勝浩 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (30253834)
東野 哲也 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (80145424)
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キーワード | 聴性脳幹反応 / 蝸電図 / 低体温 |
研究概要 |
集中治療部に入院中の昏睡患者に対し聴性脳幹反応および鼓膜電極による蝸牛電位測定を行った。数例で聴性脳幹反応で無反応でも蝸牛電位を認める症例があった。このような症例では内耳機能がまた保たれている状態であり、聴性脳幹反応の無反応が中枢機能の障害を示唆すると言えよう。従って聴性脳幹反応と蝸牛電位を組み合わせることにより脳死の判定において有力な情報が得られることがわかった。また心血管外科領域の症例にて低体温麻酔時における蝸牛電位の測定を行った。36°Cから体温を徐々に下降させると、30°C前後から蝸牛電位のうちAP(auditory nerve action potential)のN1潜時が延長し、26°C前後になると常温時より約1ms延長した。一方体温上昇時には28°Cぐらいから潜時が次第に短縮し34°C前後で体温下降前の潜時と同じ値に戻った。またSP(summating potential)においては30°C前後から振幅の増大を認め、-SP/AP比は体温下降前は0.3前後であったが最大値は0.8〜1を示した。体温上昇時にはSP振幅はやはり低下し体温下降前値に戻った。また超低体温麻酔症例では20°Cより低下すると全ての波形が平坦化した。これらの結果からは聴性脳幹反応のI波に相当するAPに関しては低体温に伴いN1潜時が延長し、最終的には平坦化することがわかった。SPに関しては-SP/AP比の増大現象がみられた。-SP/AP比の増大現象は臨床的にはメニエール病を代表とする内リンパ水腫関連疾患において報告されているが、まだまだその機序には不明な点が多い。APのN1潜時の延長と同様に低体温麻酔に伴った内耳の循環障害による一変化として出現している可能性も考えられる。
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