1.頭頚部癌のうち、とくに術前診断困難な唾液腺悪性腫瘍の診断率向上を目的として、超音波ガイド下の穿刺吸引組織生検法を開発し、その有用性を報告した。この方法はとくに、低悪性度腫瘍である線房細胞癌、粘表皮癌などの診断に有効と思われた。 2.頭頚部癌リンパ節転移の的確な把握のため、頚部の小腫瘤に対する超音波ガイド下穿刺吸引細胞診の検討を行い、対象が触診の困難な小転移巣であっても、超音波ガイド下穿刺吸引細胞診の診断率が低下せず、実際の臨床上、有用な手法であることを示した。さらに、この方法は転移巣のみならず、原発巣の非侵襲的診断法としても応用が可能であった。 3.また、転移リンパ節との鑑別が重要な神経原性腫瘍の超音波診断法について検討し、リアルタイムの検査により、多くの情報が得られることを報告した。 4.頭頚部癌症例の頚部リンパ節転移を超音波断層法により評価し、転移リンパ節の周囲組織への浸潤の程度と癌の予後が密接に関わっていることを証明した。 5.超音波断層法の治療に関する応用では、他の方法では治療の困難な再発性リンパ節転移に対して、免疫強化剤を超音波ガイド下に転移リンパ節へ直接投与し、局所および全身の免疫能が高まり、縮小効果の認められることを確認した。 また、頭頚部癌領域では初めて、術中に超音波断層法を用い、その有用性を確認した。
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