1 ダニを主抗体とする通年性アレルギー性鼻炎患者でダニ抗原を用いた免疫療法を施行することにより、鼻症状が改善るいは消失することが認められた。治療早期には特異的IgG4抗体の増加率と可溶性IL-2レセプター(sIL-2R)の減少率が鼻症状スコアーの減少率と相関していた。一方、5年以上免疫療法を施行した症例では鼻症状の消失などの強力な治療効果が得られ、その鼻症状スコアーは特異的IgE抗体、IL-4および可溶性soluble intercellular adhesion molecule-1 (sICAM-1)の減少率と相関していた。したがって、治療早期の臨床効果には抗原特異的遮断抗体の増加とTリンパ球の活性化抑制が関与していることが考えられた。一方、長期免疫療法による強力な臨床効果には特異的IgE抗体の減少、TH-2サイトカインの減少および血管内皮細胞活性化の抑制が関与していることが失された。 2 抗アレルギー剤および免疫療法で治療したスギ花粉症患者の鼻症状と血清学的検査成績より、Tリンパ球や血管内皮細胞の活性化の抑制は免疫療法に特異的ではなく、抗アレルギー剤によっても惹起され、いずれの治療法においても鼻症状軽減に関与していた。一方、特異的IgE抗体の季節性増加の抑制と特異的IgG4抗体の誘導は免疫療法に特徴的な免疫学的変化であった。また、短期免疫療法群では特異的IgG4抗体の増加が臨床効果に寄与しており、一方長期免疫療法群では特異的IgE抗体の季節性増加の抑制が臨床効果に関与していた。また、抗アレルギー剤投与患者では花粉飛散によりTh2サイトカインが増加するとともにTh1サイトカインの減少が認められた。一方、免疫療法を施行した患者群ではTh2サイトカイン増加が抑制され、Th1サイトカイン減少が抑制されていた。しかし、免疫療法の臨床効果にはTh2サイトカインの増加抑制が主役となっていた。また、Th2サイトカインの増加抑制がIgE抗体の季節性増加抑制に関与していることが認められた。
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