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1997 年度 実績報告書

反復性中耳炎の発症機序の解明と予防ワクチンの開発

研究課題

研究課題/領域番号 07671880
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

山中 昇  和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10136963)

キーワード反復性中耳炎 / インフルエンザ菌 / 外膜蛋白 / 経鼻免疫 / コレラトキシン
研究概要

マウスを用いた実験系により、P6の経鼻免疫によるP6特異的抗体産生と、そのP6特異的抗体がインフルエンザ菌感染に対して予防効果を有するか検討した。
方法
1 nontypableインフルエンザ菌の外膜蛋白P6の経鼻免疫によるP6特異的抗体産生をマウスを用いた実験系により検討した。以下の4群に分け特異的分泌型lgA抗体の産生について比較検討した。A群では経鼻免疫(P6+cholera toxin)を2週間,隔日(7回)で施行した。B群では経鼻免疫(P6+cholera toxin)を、初回免疫後2週間後に追加免疫をした。C群はA群の対照群(PBS+cholera toxin)、D群はB群の対照群(PBS+cholera toxin)とした。いずれの群も最終免疫後1,2,3週後に血清,鼻咽腔洗浄液を採取し、鼻咽腔洗浄液および血清中のP6特異的抗体(lgG,lgM,lgAおよび分泌型lgA)を酵素免疫測定法により定量した。
2 P6特異的lgA抗体が細菌感染予防効果を有するか検討するため、インフルエンザ菌をマウス鼻腔に接種し、P6経鼻免疫マウス(A群)と対照マウス(C群)で接種細菌の消失期間を比較した。
成績
1 A群では鼻咽腔洗浄液中にP6特異的lgA抗体の良好な上昇が認められ、更に血清中のP6特異的lgAおよびlgG抗体の上昇も認められた。この特異的抗体は最終免疫後14日後に認められ、その後3週間以上持続した。一方、B群では特異的抗体は21日目に認められたが、その後徐々に低下した。C群、D群では弱い抗体産生が認められたが、A群に比較しはるかに低値であった。
2 免疫マウスでは3日間でほぼ鼻咽腔から排除されたが、対照マウスでは排除されるまで約7-14日間を要した。
考察
nontypableインフルエンザ菌の外膜蛋白P6を粘膜アジュバントであるcholera toxinとともに経鼻免疫することにより、鼻咽腔に効率的にP6特異的分泌型lgA抗体が誘導され、この局所で産生されたP6特異的lgA抗体が細菌の鼻咽腔粘膜への付着を阻止し、細菌を効率的に排除したと考えられた。このようにP6の経鼻免疫によりインフルエンザ菌の鼻咽腔へのコロナイゼーションが抑制され、鼻咽腔からの細菌波及による中耳炎、副鼻腔炎などが予防できる可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 山中 昇: "反復性中耳炎の治療" 耳鼻咽喉科頭頸部外科JOHNS. 13(8). 1152-1157 (1997)

  • [文献書誌] 山中 昇: "粘膜感染免疫ーみみ・はな・のどの免疫" Immunology Prontier. 7(4). 57-70 (1997)

  • [文献書誌] Yamanaka N: "Immunological Deficiency in “Otitis-prone"child" Immunological Diseases of the Ear. 70-81 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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