研究課題/領域番号 |
07671882
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
廣瀬 肇 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80010031)
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研究分担者 |
平山 方俊 北里大学, 医学部, 講師 (00208860)
桐谷 滋 東京大学, 医学部, 教授 (90010032)
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キーワード | ビデオプリンタ / 過渡的発声 / 痙攣性発声障害 / 声帯振動の位相差 / 声門閉鎖 / 閉鎖期延長 / 二重声 |
研究概要 |
本年度は各種の病的音声を呈する症例のうち、とくに従来のストロボスコピー下の観察が困難であるような例を対象として研究を進めた。研究実施にあたっては従来のモニタ画面上の観察に加えて適切な画面をビデオプリンタを用いて静止画像化し計測することも可能となった。またイメージメモリのサイズを増大させることに成功し、コマ数を毎秒2,500コマとすれば連続6秒間の記録が可能で、過渡的発音の解析もできるようになった。これによって、まず従来解析困難であった痙攣性発声障害症例について検討を進めた。これらの症例では音声の断続的な変化と、その際の音質の変動が特徴的であるが、今回、次のような点が観察された。すなわち発声中、正常音声で一定の音高を保っている部分では、十分な声門閉鎖が規則正しく繰り返されているのに、次の瞬間、声帯振動の1周期おきに声門閉鎖が不完全となり、このため聴覚的に声の高さが急に低くなることが確かめられた。また別の症例では、間欠的な声の停止が観察され、この時声門の閉鎖期の異常な延長が同期して起こっていることが明瞭に示された。このような散発的ないし間欠的な声帯振動の異常と声の同時解析は、従来の観察様式では同定が困難なもので、本研究の成果として有意義なものであると考えられた。また、その他の神経疾患症例で、左右の声帯振動が異なる場合に二重声を呈する例について検討を進めた結果、左右声帯の振動の位相差が振動周期ごとに次第に大きくなり、声門閉鎖が不完全となって音声波の振動が減弱していくことが観察された。これらの例では位相差がある程度大きくなるとそれがリセットされて初期状態に戻ることが特徴的で、この際の様式に3種のパタンがあることが初めて確認された。また声帯振動の位相差に、左右差のほか前後軸上の差もあることが指摘された。
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