研究概要 |
ラジカル消去剤であるsuperoxide dismutase(SOD)を阻害不活化する事により癌細胞にアポトーシスを誘導させる研究目的は、悪性黒色腫細胞株,扁平上皮癌細胞株、全骨髄性白血病細胞株etc.を用い、Diethyldithiocarbamate(DDC)にて細胞質、核に存在するCu,Zn-SODを阻害することにより、アポトーシスを誘導出来ることが明らかになった。実験計画に記載したとうり、SODの活性の低下に依存してアポトーシスが起こり、そのアポトーシスは、電気泳動による染色体DNAの断片化、および電顕、光顕的fragmentationにて確認した。またその生化学的機序の解明については、現在進行中であるが、SOD低下に伴う、アポトーシス誘導の機序は、細胞種により異なる可能性が、現在まで得られた結果(各種kinaseを阻害した実験結果)から示唆されるため、慎重に検討中である。 抗癌剤およびTNFαの酸素ラジカルを介した腫瘍殺傷効果を回復、増強させる研究目的について、TNFα耐性癌に、H7にてMn-SODの誘導を阻害してやると、TNFα耐性株の約40%は死滅する結果を得た。現在、それらの追試、他の抗癌剤との併用について検討中である。放射線治療の感受性を増大させる研究目的は、大学付属病院内施設利用の関係上、本年度は実験できず、その間、同様にラジカルを介し殺傷効果を持つ紫外線利用について実験続行中である。
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