研究概要 |
当該年度において、低周波音バイアス法およびクリック音の極性を変化してAPとSPの振幅や潜時の変化を測定してinput-output curve(I/Oカーブ)と水腫の程度との関連を調べる目的で、以下の検討を行った。 1)音刺激装置の作成とキャリブレーション クリック音の極性を変える装置は容易に作成出来たが、低周波音によるバイアス法の為の音刺激装置は,位相の変化に同期してトーンバーストを発生時にノイズが混入することがわかり,このノイズに対するCAPが発生する可能性があり,目下鋭意改良に努めており近日中に満足すべき装置が完成することが予定されている。従って,低周波音バイアス法による実験は装置の完成を待って行う予定である。 2)動物実験 12匹のモルモットを使用して、うち8匹に内リンパ水腫を作成し,4匹(8耳)はコントロールとした。水腫動物では,クリック音の極性を変えるとCAPの潜時に差が見られたが,コントロール群では差が見られなかった。この結果は7年10月22-27日モスクワで行われたInternational symposium ″Modern Problems of Physiology and Pathology of Hearing″において″The effect of polarity of click stimulus on CAP in hydropic cochlea″と題して口演した。又,動物の側頭骨標本の作成に関してはミクロトームなどの器材、セロイジン標本の作成の設備などが整っていないので準備中である。 3)臨床実験 外来聴力検査室(無響室)の整備と各種音刺激装置のキャリブレーションを行って,平成8年度の実験に備え,また感音性難聴者10名について種々の聴覚生理学的な基礎データの作成に努めた。
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