研究概要 |
実験的内リンパ水腫を作成した40匹のモルモットの側頭骨セロイジン包埋標本をミネソタ大学医学部耳鼻咽喉科学教室のの側頭骨病理研究室に依頼して作成した。福岡大学耳鼻咽喉科学教室の側頭骨病理研究室は準備中であるが残念ながらまだ機能していない。 40匹のモルモットから,1)片側に全回転で明瞭な水腫が有る物,2)両側ともに標本作成中のア-タチファクトのないもの,3)両側ともに同一スライド切片で蝸牛軸正中断面を持つ物,の条件を満たす標本15個を選別し,ライスネル膜の変化を計測した。即ち,第2,4,6蝸牛管のライスネル膜における膜の幅,細胞数,単位幅当たりの細胞数を比較検討した。其の結果,水腫側は正常側と比較して膜の幅は延長し,内皮,中皮細胞共増加を認めたが単位幅当たりの細胞数では内皮細胞数の減少,中皮細胞数の増加を認めた。これは,内皮細胞と中皮細胞の水腫に対する反応機序の違いを示唆する。 この15匹の動物すべてでAPの測定及び低音バイアス法によるAPの振幅と潜時の変化を測定しているので,これらの電気生理学的変化と今回の組織学的変化との相関関係を分析中である。 これらの結果は,第一報を平成9年12月6日の第14回福岡県地方部会学術講演会において"実験的内リンパ水腫モルモットの蝸牛ライスネル膜について"と題して口演し,第2報を平成10年4月29日の仙台シンポジウムにて"Cellular events of thr Reissner's membrane in experimental hydrops"と題して報告予定である。
|