研究概要 |
頭頚部癌症例に抗癌剤感受性試験(Histoculture Drug Response Assay、HDRA)、さらに癌関連遺伝子の免疫組織学的検討を行い、抗癌剤感受性予測の可能性を研究した。1.抗癌剤感受性試験:Hoffmanらの原法にMTT assayをendpointとしたHDRA法を行った。進行頭頚部癌40例による基礎的研究で、腫瘍発育阻止率(I.R.)はCisplatin(CDDP)20μg/mlで37±22%、5FU300μ g/mlで50±22%、Adriamycin15μ g/mlで57±23%であり、臨床奏効率を考慮すると、これらの値が至適薬剤濃度として求められた。扁平上皮癌における原発部位とリンパ節の比較ではリンパ節のCDDP20μ g/mlに対するI.R.が有意に低かった。この内、ネオアジュバント化学療法が12例に、再発後化学療法が2例に行われた。化学療法はCDDP25mg/m^2(dayl,24hr),5FU 1000mg/m^2(dayl-2,48hr),Weekly、6コース投与した。評価可能な化学療法例13例のCDDPに対するHDRAの化学療法の効果に対する正診率は77%で、化学療法の効果とHDRAによる予測との間に有意な相関を認めた。2.免疫組織化学的検討:CDDPの作用機序の面から、扁平上皮癌で原発部位の感受性を検査した23例を対象に、アポトーシス関連遺伝子であるp53とbcl-2さらに、解毒に関連するGSTπとMethallothionein(MT)の免疫組織染色を行った。p53、bcl-2、MT,GSTとHDRAによるCDDP感受性との比較ではp53とMT発現群のI.R.が有意に低く、低感受性を示した。p53とMTの化学療法の効果に対する正診率はそれぞれ75%、50%であった。p53蛋白発現の有無は抗癌剤の治療効果の予測に有用であった。
|