研究概要 |
頭頸部癌症例にSDI法とHDRA法による抗癌剤感受性試験を行いさらに癌関連遺伝子の免疫組織学的検討を加えて抗癌剤感受性予測の可能性を研究した。1.抗癌剤感受性試験(SDI法):頭頸部癌手術例に対するSDI法を用いた抗癌剤感受性試験を55例に行い判定可能率は80%であった。腫瘍発育阻止率はリンパ節が原発巣より低値であった。化学療法例に対するCisplatin(CDDP)25μg/mlと5FU100μg/mlでの効果予測に対する正診率はそれぞれ56%、63%であった。2.抗癌剤感受性試験(Histoculture Drug Response Assay,HDRA):進行頭頸部癌40例による基礎的研究で、腫瘍発育阻止率(I.R.)はCDDP20μg/mlで37±22%、5FU300μg/mlで51±22%、Adriamycin 15μg/mlで57±23%であり、これらの値が至適薬剤濃度として求められた。扁平上皮癌における原発部位とリンパ節の比較ではリンパ節のCDDP20μg/mlに対するI.R.が有意に低かった。評価可能な化学療法例13例のCDDPに対するHDRAの化学療法の効果に対する正診率は77%で、化学療法の効果とHDRAによる予測との間に有意な相関を認めた。3.免疫組織化学的検討:CDDPの作用機序の面から扁平上皮癌で原発部位の感受性を検査した23例を対象にアポトーシス関連遺伝子であるp53とbcl-2さらに、解毒に関連するGSTπとMetallothionein(MT)の免疫組織染色を行った。p53、bcl-2、MT,GSTとHDRAによるCDDP感受性との比較ではp53とMT発現群のI.R.が有意に低く低感受性を示した。p53とMTの化学療法の効果に対する正診率はそれぞれ75%、50%であった。4.結論:HDRA法とp53蛋白発現の有無は抗癌剤の治療効果の予測に有用である。
|