研究概要 |
1.本装置の精度と再現性を確認し、良好な結果が得られた。結果を第12回International Congress of Eye Research,1996(横浜)で報告した。 2.正常眼の視神経乳頭辺縁部の血流速度は年齢により変化し、50代をピークとして、30代、70代では有意に低い値を示した。また、視神経乳頭辺縁部上耳側に比べ下耳側で有意に低い値を示した。これらの結果は、糖尿病眼での血流の変化に対する基準値の設定ができただけでなく、緑内障に対する循環障害の関与を示唆している。以上の結果は、1997年度緑内障学会で報告する。視神経症のない網膜症(d群)の視神経乳頭辺縁部の血流速度は上記の正常者の群と経過を通して有意差は認められなかった。視神経症を有する網膜症(c群)で経過を追えたのは固視能の低下や全身状態の悪化に伴い、7例のみであった。5例が虚血性タイプで、2例が乳頭症タイプであり、経過を通して正常群とd群に比べ視神経乳頭辺縁部の血流速度は低下しており、視機能の明らかな改善も見られなかった。視神経循環と視機能障害には密接な関連性があることが明らかとなった。 3.測定範囲が狭い本装置での測定には限界があり、視機能に障害のない症例では経過観察が可能であったが、障害のある症例では固視能の変化により測定部位が変化する可能性が示唆された。現有のシステムでは、黄斑を測定しているという確証が得られなかったため、経過観察を中止した。そこで、現在、測定部位を4倍程度に拡大し、半導体レーザーが照射されている部位をモニターできるシステムを開発中であり、黄斑症の測定は今後、再検討したい。
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