1.糖尿病ラット ストレプトゾトシン投与により血糖値200mg/dl以上を示した糖尿病ラットでは、正常群に比較して体重増加が認められず、軽度減少した。糖尿病発症3ヵ月時の血糖値は平均566.9±67.2mg/dlを示した。 2.網膜内GABAの変動 抑制性伝達物質であるGABAは、糖尿病ラット網膜には内顆粒層、内網状層、神経節細胞層に認められ、アマクリン細胞や異所性アマクリン細胞に強い陽性反応を認めた。糖尿病ラット網膜でのGABA代謝酵素、即ちGABA合成酵素と分解酵素について検討した。両酵素活性は、網膜粗抽出液において、時間依存性、量依存性を確認した。GABA合成酵素は糖尿病発生により最初低下し、時間の経過とともに回復傾向を認め、GABA分解酵素は週数の経過につれて、徐々に低下が見られた。その結果、糖尿病初期のGABA量の減少は、経時的に正常に回復する。 3.視神経線維の解析 糖尿病発生3ヵ月の時点では、体重は正常群に比較して軽度減少が認められた。しかし、視神経断面積は、正常と比較して差は認めなかった。電子顕微鏡的観察にて、神経線維を検討すると、糖尿病では線維不整形を示し円形をもたず、髄鞘にも層構造に乱れが認められた。形態測定を行うと、糖尿病での軸索や随鞘面積は有意に縮小しており、特に大径線維の比率が減少していた。糖尿病初期の視神経線維では、糖尿病の代謝障害が発生していることが示唆された。
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