1.視路におけるGABA代謝 糖尿病ラット網膜、上丘及び大脳皮質での、GABA代謝酵素、即ちGABA合成酵素と分解酵素並びにGABA量について検討した。両酵素活性は、網膜粗抽出液において、時間依存性、量依存性を確認した。網膜においてGABA合成酵素と分解酵素は糖尿病発生により低下する傾向を認めた。上丘と大脳皮質でも同様に結果を示した。糖尿病初期の各組織でのGABA量の減少は、分解酵素より合成酵素活性阻害に依存して減少する。 2.視神経線維の変化とアルドース還元酵素阻害剤の効果 電子顕微鏡的観察にて、有髄神経線維を検討すると、糖尿病では軸索は不整形を示し、髄鞘にも層構造に乱れが認められた。形態測定を行うと、糖尿病では有髄神経数には変化は認めないが軸索や髄鞘面積は有意に縮小しており、特に大径線維の比率が減少していた。これらの変化はアルドース還元酵素阻害剤によりほぼ完全に予防できた。糖尿病初期の視神経線維では、ポリオール代謝異常により神経線維の狭小化が発生している。
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