1.赤外線ビデオレフラクション装置を応用して、角膜反射像のずれの画像計測により斜視角度を自動的に測定する方法を開発した。 2.この方法を用いて、臨床症例、斜視患者86名について斜視角度を測定し、測定値の再現性、交代プリズム遮蔽試験による測定値との比較、角膜反射像にずれから斜視角を得る際に必要な換算値(Hirschberg比)の分布について検討を行なった。その結果、測定値の再現性、臨床試験としての取り扱いの容易さの2点では、優れた検査法であることが判明されたが、一方で換算値の大きな個体差が系統誤差の原因となることがわかった。さらに、角膜曲率半径、前房深度を全身麻酔下で乳幼児132名について生体測定を行い、換算値の個体差との関連について検討した。 3.動的ランダムドットステレオグラムを作成するプログラムを作成し、これを動画として被検者に見せることによって、電気眼振図(ENG)記録により視運動性眼振が誘発されることを確認した。これにより、従来の自覚的な応答に基づく方法に比べ、殊に乳幼児において立体視機能の評価がより確実になることが期待された。 4.角膜反射像に基づく斜視角測定法の短所であった、換算値の個体差に基づく系統誤差の問題を解決するため、入射瞳の楕円率の基づく斜視角測定法を考案した。同じ赤外線ビデオレフラクション装置で正常者8名について実験的にシミュレートした斜視角を測定を施行し、得られた測定値について誤差の検討をおこなった。その結果、大角度での測定値の再現性は向上するものの、角膜屈折作用による系統誤差、ビデオ画像上で入射瞳を抽出する上で必要な閾値の問題も明らかになった。 5.1〜4で挙げた検査法を併用し、乳児内斜視の手術治療を既に12例に行い、現在さらに症例を追加しつつ術後症例に関して両眼視機能を追跡中である。
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