研究概要 |
平成7年度は悪性腫瘍に対する集学的治療のうち、とくに電撃化学療法について集中的に実験を行った。 まず、悪性黒色腫細胞B16F10を大量に培養する系を確立した。この細胞をC57BLマウスの眼瞼に移植したところ、皮下に大きな腫瘤を形成するまでに黒色腫は発育した。そこで眼瞼腫瘤を切除して病理組織学的検査を行ったところ分裂細胞を多数認めた。次に遺伝子組み替えに用いられている電気穿孔器BTXモデルT820とオプティマイザーを用いて、腫瘍に1,000Volt/cmの電撃を加えた。これによって腫瘍の縮小はほとんどみられなかった。 そこで抗悪性腫瘍薬であるブレオマイシン10μgを電撃30分前にマウスの尾静脈から注入した。1Hzで8回の電撃を加え、その後、2日毎に腫瘍径を測定した。腫瘍は順調に縮小していった。ブレオマイシン単独投与群では腫瘍の縮小はほとんど認められなかった。組織学的にも腫瘍の壊死を確認した。 この作用機序を解明するために、電気穿孔器で細胞膜に孔が作製された状態を形態学的に確認しようと冷凍割断法を用いて観察したが、現在のところ成功していない。 光線力学的療法に関しては角膜に対する影響をみるために角膜の上皮細胞、実質細胞、内皮細胞を別々に培養し、ヘマトポルフィリン誘導体を作用させた後、光照射し、上記の3細胞のうち、どの細胞に最も影響が大きかったかを検討している。
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